交流分析(Transactional analysis TA)

 

交流分析(Transactional analysis TA)


1950代後半に、精神科医エリック・バーン(Eric Berne)

によって提唱された一つの心理学理論。

自我の状態をP(親)、A(成人)、子供(C)に分け、その自我の状態や、やりとりのパターンをみてゆきます。

また、TAには、その他にもいくつかの重要な

テーマがあります。


・ストローク理論〜人は愛情なしに生きては

行けない。


・ゲーム理論〜いつも同じようなネガティブ

  な結果に終わる、日常的に繰り返される

 やりとりをゲームと呼び、私たちの生き方に

 大きく影響を与えている。


・脚本分析〜幼児期に愛情を得るための必死の

 行動パターンが、大人になってもその人の

 生き方に大きく影響を与えている。

 人は幼児期に決めた脚本に従い生きて行く。


など、さまざまな角度から私たちの思考や

行動のパターンを見て行きます。


交流分析は故国谷誠朗博士に教えをいただき、
また、企業研修で研鑽を積んだ、僕の得意の
分野でもあります。

◆ストローク理論〜人は愛情なしに生きては行けない

ストロークとは相手の存在を認める言葉や振る舞いのことです。

話しかける、微笑む、抱っこしてあげる、握手する、ハグする、ご飯をあげる、話を聞いてあげる、視線を合わせる、うなずく、etc

おそよ考えられるほとんどすべてのポジティブな振る舞いは相手にとってストロークとなります。

私たちは赤ん坊の時から、このストロークを求めて生きています。

ストロークは「心の食べもの」とも言われます。

何故ならストロークがなければ赤ん坊などは死んでしまうこともあるからです。


ストロークにはプラスのストロークと、マイナスのストロークがあります。

相手の存在を認める行為だけれど、行為としてはマイナス、ネガティブなもの(叱る、叩く)をマイナスのストロークと言います。


また、ストロークではないもの、相手の存在を値引きする行為を「ディスカウント」と呼びます。

ディスカウントには、無視、暴力、体罰などがあります。

私たちはディスカウントを受け続けるとその場にはいられなくなります。

学校でのいじめはディスカウントということができるでしょう。


○スーザンのお話

ストローク欠如が引き起こした臨床例が映像で残っています。

それは「セカンドチャンス」というアメリカの医療映画で、スーザンという女の子の成長のドキュメンタリーです。

スーザンはある病院に来たとき1歳10ヶ月でした。

ふつうなら、おしゃべりを始め歩き回ったりする年頃ですが、スーザンは歩くどころかハイハイもできず、話もまったくできず、表情もほとんどない状態でした。

大人が近づくと泣いたり尻込みをしたり、また、抱っこしようとすると拒絶するという状態でした。

スーザンは著しく発達が遅れていて、体重は6.75Kg、身長71cm、当時の平均からすると、

体重は5ヶ月児、身長は10ヶ月児に相当するものでしかありませんでした。

検査の結果、スーザンの身体にはなんら異常が見つからず原因不明の発育不全ということになりました。


しかし、やがてその原因がわかりました。

スーザンが入院して3週間たっても両親が面会に来ないのです。

そこでソーシャルワーカーが両親を訪ねました。

分かったことは、スーザンは望まれずに生まれて来た子供だったということです。

スーザンは生まれた時から父親や母親に面倒を見てもらえず、ストロークを与えてもらえませんでした。


病院ではスーザンの病名を「母性的愛情欠乏症候群」と名付け、ストロークを与え続けるという治療を始めました。

ボランティアの看護師が一日6時間つきっきりで、抱っこしたり、あやしたり、ミルクをあげたりしてストロークを与えました。

数週間の後、スーザンはみるみる元気になって行きます。

無表情だったスーザンに笑顔が見られるようになり、抱っこされることもいやがらなくなってゆきました。

2ヶ月後には、体重は2.7kg、身長は5cmも伸びたのです。

やがて元気になったスーザンが病院の廊下を歩いているところで映画は終わります。

スーザンの症例は、ストロークは私たちが健やかに生きて行くためになくてはならないものだということを教えてくれています。


○心理学者スピッツの研究

第二次世界大戦後アメリカの孤児院で脊椎が萎縮して乳児が亡くなるというケースが相次ぎ、心理学者のスピッツが調査を依頼されました。

当時は、科学万能主義の時代です。病気の原因となる細菌を遠ざけできるだけ衛生的に子供を育てるのが良いと言う考え方が広まっていたようです。


当時孤児院では、赤ちゃんはひとり一人柵付きのベッドに寝かされ、スタッフが世話をしていましたが、情緒的なケア(抱っこしたり、微笑みかけたり)まで手が回らない状態でした。

そんな施設では赤ちゃんの脊椎が萎縮する病気が出ているのでした。


いっぽう、予算の乏しい施設では、子供たちはマットを敷いた床に寝かされていて、赤ちゃんは寝返りをうってごろごろお互いに触れたり、また、スタッフも赤ちゃんを抱っこする機会が多くストロークを頻繁に与えているのでした。

そのような施設では赤ちゃんの脊椎が萎縮する症状はなく、むしろ赤ちゃんはまん丸に太って、元気で健康的だったのです。

この調査から、子供の発達には、ストロークが必須であるということが分かったのです。